社長コラム6

本解説シリーズ

『マインドセット』

「やればできる!」の研究

今回はキャロル・S・ドゥエックさんの世界的ベストセラー『マインドセット「やればできる!」の研究』を解説していきたい思います。

さてこの本はスタンフォード大学発の世界的ベストセラーであり世界的に大反響を読んだ本でもあるので、是非とも一度は読んで欲しい一冊になります。

まず著者は次のように断言しています。

「本書を読めば自分についてのある単純な信念が人生をどれほど大きく左右しているかがお分かりになるだろう。その信念は人生のありとあらゆる部分にまで浸透している。自分の性格だと思っているものの多くが実はこの心のあり方、すなわちマインドセットの産物である。あなたがもし可能性を発揮できずにいるとしたらその原因の多くはマインドセットにあるといってよい。」

にも関わらずマインドセットについて説明し、これを生活に役立てる方法を示した書籍はこれまであまりありませんでした。本書をお読みになればマインドセットについて深く理解できるようになるでしょう。そして学問、芸術、スポーツ、ビジネスの分野で偉大な功績をあげた人とあげられなかった人とでは一体どこが違うのか。自分のパートナー、上司、友人、我が子がなぜあんな風にふるまうのか。自分や我が子の可能性を最大限に引き出すにはどうすれば良いのか。

その答えが本書には書かれております。さらに本書の内容を実生活にどのように役立てていけばよいのかも示されておりますので非常に実践的な本でございます。あなたの人生を支配しているマインドセットの存在を認め、その働きを良く理解し、変えたい場合にそれを変えるにはどうすればよいのかが記されています。

さて自分を変えたいのならばまずはマインドセットについて理解し、そしてマインドセットを変えるということが第一歩になるわけなんですね。

では早速本書の内容を解説していきます。

1つ目は人間の能力はすべて遺伝で決まっていて、変えることができないのかという深い話題について解説していきます。

2つ目でマインドセットを変える方法について解説していきたいと思います。

それではさっそく1つ目の、人間の能力はすべて遺伝で変えられないのかということから解説を始めていきます。

さて、皆さんにまず最初にとても重要なことを申し上げておきたいと思います。あなたは次の二つの主張のどちらに賛成しているのか、ということをちょっと考えてみてください。

1、自分の能力は努力や経験によって伸ばすことができる。

2、自分の能力は生まれつき遺伝で決まっていて努力ではどうしようもない。

さてあなたはどちら側の意見を今もっているでしょうか?

結論から先に申し上げると自分の能力は努力や経験によって伸ばすことができるという1を今お持ちの方は明るい未来が待っています。

逆に自分の能力は遺伝で決まっていてどうしようもないと考えている人は、本来の自分の能力を発揮できる、成長できる機会を失ってしまうと著者は断言しております。

1のように自分の能力は努力や経験によって伸ばすことができるというマインドのことを『しなやかマインドセット』と言います。そして2のように自分の能力は生まれつき遺伝で決まっていて努力ではどうしようもないというマインドのことを『硬直マインドセット』と言います。

この本の最も重要なポイントは『しなやかマインドセット』を持ちなさいということになります。

なぜならば多くの人は、今現在硬直マインドセットにとらわれていて自分は変わることができないと思っているからです。

しかしそれだと本当に変わることができなくなってしまうんだと著者は警告しております。

だからしなやかマインドセットを身に付けて自分は変われるんだという信念を持つことが重要なんです。そうすれば本当に成長できるし、記憶力も上がるし、勉強の成績も上がるし、仕事の成果だって上がります。

今まで諦めていた夢に挑戦するモチベーションも湧いてきます。自分の大切な目標に向かってコツコツと一歩ずつ努力することが出来るようにもなると本書は主張しています。

このことを理解してもらえれば本書の結論を理解できたことになります。

ではこの結論をもう少し深掘りして解説していきましょう。

人間は太古の昔から考え方も行動も生き方も一人一人異なっています。

当然次のような疑問が湧いてくるでしょう。なぜ私たち人間には個人差があるのだろうか?なぜ頭の良さや特性の違いがあるのだろうか?

その違いを一生決めてしまうような何かが存在するのかしないのか?

専門家はこれまで2つに分かれて議論を戦わせてきたんです。

遺伝子によって人間の違いは決まっているから変えられないんだ!という派閥と、いやいやそのような人間の違いは生まれ育った環境や体験、教育及び学習方法によるものだという派閥です。

結局どちらの派閥が正しいのでしょうか?そのいずれでもないというのが今日の大多数の専門家の見解です。生まれや育ち、遺伝子や環境下ではなく受胎後、その両方が絶えず影響を及ぼし合いながら人間というのは成長していくんです。知能検査というものがあります。あなたの知能は幾らです。IQはいくらです。みたいに出てくるものですね。その知能検査を開発したビネーという人は次のように述べているんです。

「最近の学者の中には個人の知的能力は一定であって向上させることは不可能だと主張する者がいる。このような残酷な悲観論には断固として抵抗しなければならない。訓練を積み、練習を重ね、そしてなにより正しい方法を習得すれば注意力、記憶力、判断力を高めて本当に頭を良くすることができるのである。」

さていかがでしょうか?これは非常に私たちにとって勇気が出てくる話だと思います。

また生涯学習し続ける能力や、脳の発達の余地は従来考えられていたよりも大きいということが最近分かってきています。もちろん人間は皆、独自の遺伝的な資質を持っています。初めのうちは生得的(本来備わっている先天的なもの)な気質や適性に左右されるかもしれませんが、やがて経験や訓練や努力といったものが大きくものをいうようになってくるんです。

知能研究のロバートスターンバーグによると高度な専門性を身につけられるかどうかの最大の決め手はあらかじめ備わった固定的な能力ではなく、目標に対してどこまで能力を伸ばしていけるかにある。と仰っています。

ただ、どちらの説が正しいのかという学問上の論争は専門家に任せておいて、この2つの説を自分に当てはめるとどうなるのかということだけはよく理解しておかなければなりません。

20年にわたる著者の研究から分かったことですが、どちらの説を信じるかによってその後の人生に大きな大きな開きが出てくるんです。

自分が望む人間になれるかどうか、自分にとって意義ある仕事を成し遂げられるかどうかがそれで決まるかもしれないんです。

自分の能力は石版に刻まれたように固定的で変わらないと信じ、すなわち硬直マインドセットの人は自分の能力を繰り返し証明せずにはいられません。知能も人間的資質も特性も一定で変化しえないのだから、とりあえずまともな人間であることを示したいのです。このような基本的な特性に欠陥があるなんて自分でも思いたくないし人からも思われたくない。教室でも職場でも人付き合いの場でも、自分の有能さを示すことばかりに心を奪われている人を著者はこれまでたくさん見てきました。

事あるごとに自分の知的能力や人間的資質を確認せずにはいられない人たち、、、

★しくじらずにうまくできるだろうか・・・

★賢そうに見えるだろうか・・・

★馬鹿と思われやしないだろうか・・・

★認めてもらえるだろうか・・・

★突っぱねられやしないだろうか・・・

★勝ち組でいられるだろうか・・・

★負け犬になりはしないか・・・

と彼らはいつもビクビクしているんです。しかしそれとは違った心の持ちようもあります。初めに配られた手札だけでプレーしなくてはいけないと思えば本当は10のワンペアしかなくても、ロイヤルフラッシュがあるかのごとく自分にも他人にも思い込ませたくなります。けれどもそれを元にして、これからどんどん手札を強くしていけばいいと考えてみればどうでしょうか?それこそがしなやかな心の持ち方、しなやかマインドセットではないでしょうか?その根底にあるのは人間の基本的資質は努力次第で伸ばすことができるという信念であります。持って生まれた才能、適正、興味、資質は一人一人異なりますが、努力と経験を重ねることで誰でも皆、大きく伸びていけるという信念です。実はダーウィンもトルストイも幼少期には周囲から凡庸な子だと思われていました。20世紀を代表するアーティストと言われる写真家、シンディシャーマンは初めて受けた写真の授業で単位を落としています。大女優ジュラルディンページも、君には才能がないから女優の道は諦めなさいと諭された経験があります。

才能は磨けば伸びるという信念が、どれほどの情熱を生み出すかお分かりいただけたのではないでしょうか?

その気になれば能力はどんどん伸ばすことができるのに、なぜ現在の能力を示すことばかりにこだわって時間を無駄にしてしまうのでしょうか?

欠点を克服しようとせずに隠そうとするのか?

ぶつかり合う中で自分を成長させてくれる友人やパートナーを求めずに、ただ自尊心を満たしてくれる相手を求めてしまうのでしょうか?

新しいことに挑戦せずに、うまくできると分かっていることばかりを私たちは繰り返してしまいます。思い通りにいかなくても、いえうまくいかないときこそ粘り強い頑張りを見せるのがしなやかマインドセットの特徴です。

人生の試練を乗り越える力を与えてくれるのはこのマインドセットです。マインドセットのことが分かり始めると新しい世界が開けてきます。能力を固定的に捉える世界では自分の賢さや才能を証明できれば成功、自分の価値を確認できればそれが成功ですが、一方で能力は伸ばせるものであると考えている世界では頑張って新しいことを習得できれば成功、自分を成長させることができれば成功なのです。

能力を固定的に考える世界ではつまずいたらそれでもう失敗です。落第点を取る、試合に負ける、会社をクビになる、人から拒絶される、そうしたことはすべて頭が悪くて才能がない証拠だからであります。

それに対して能力は伸ばせると考える世界では、成長できなければ失敗、自分が大切だと思うことを追求しないこと、可能性を十分に発揮できないことこそが失敗となります。

能力を固定的に見る世界では努力は忌まわしいことです。挫折と同様に頭が悪くて能力に欠ける証拠だからであります。頭が良くて才能があればそもそも努力する必要などない。それに対し能力を伸ばせると考える世界では努力こそが人を賢く有能にしてくれると考えます。さてどちらの世界を選ぶかはあなた次第です。

マインドセットは信念に過ぎません。強いパワーを持つ信念ですが結局のところ心の持ちようであり、それを変える力はあなた自身が握っています。是非、本書を読んで考えてみてほしいと思います。

あなたはどちらの世界に行きたいと思うでしょうか。

そのためにはどちらのマインドセットを選べば良いのでしょうか?

硬直マインドセットではなく、しなやかマインドセットを持つことによって私たちのこれからの人生は大きく変わるんです。ぜひ自分の中にしなやかマインドセットを育てていきましょう。

それでは次回、後半やっていきます。

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